My Bloody Valentineについて

マイ・ブラディー・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine) のみが、今の僕のfacebookで雄一の好きなロック・バンドとしてmusicのところに書いてある。今年の2月にMy Bloody Valentineの新譜、彼らの3枚目になる”mbv”出てからは、ロックのCDとしては、このCDが家で一番かかっている。
My Bloody Valentineには、La Monte Youngが60年代にやっていた、Dream Syndicateのミニマルの実験音楽や80年代に作曲家のGlenn Branca やバンドのソニック・ユース がエレクトリックのオープン・チューニング・ギターでやっていたサウンドの影響があった。その影響をさらに、今までになかったサウンドに持って行ったバンドだと思っている。
彼らは一つのサウンド・コンセプトを少しづつ広げて行った。1987年に現在のメンバーになってから、3枚のCDしか出ていない。2枚目 の”Loveless”というCDは、それまで音楽になかったサウンドだった。そして、今年でた3枚目は、”Loveless”が発売されて22年ぶりに 出たものだが、見事に”Loveless”で作っていたサウンド・コンセプトを次の段階に持って行った者だった。

メンバーは4人だが、サウンド作りの中心になっているのは、二人のギターとヴォーカルを担当しているKevin Shields (1963年生まれ)という男性とBilinda Butcher (1961年生まれ)という女性。メンバーは本当は4人(女性ベーシストと男性のドラマーがいるが)、
”Loveless”の殆どの曲には、KevinとBilindaしか参加していない。
彼らの人気が出てきた90年前後では、二人はカップルだった。彼らの80年代から90年代前半の録音を聴いていると、おそらくカップルでなければありえないようなサウンドに聴こえてくる。
Kevin Shieldsはニューヨークのクイーンズに生まれた、1973年に家族と共に先祖の国、アイルランドに引っ越さなければいけなかった。彼にとっては、ま るでニューヨークから突然 ”old country”に引っ越したように感じて、その環境に慣れることが難しかった。今でも彼はアメリカの国籍を持っている。しかし、当時グラム・ロック(デ ビット・ボウイ、マーク・ボラン、ロクシー・ミュージック、ブライアン・イーノ)等が流行り出した時代だった。その影響で音楽を始めた。二十歳の時に、 This is your bloody valentineというデビュー・アルバムが発売された。しかし、現在のMy Bloody Valentineのサウンドは、ロンドンに引っ越して、ベースのDebbie Googe(1962生まれ)と ギターとヴォーカルのBilinda Butcher が参加してからだと本人も言っている。
Kevin Shieldsは子供の時から倍音の響きで遊ぶのが好きだった。彼と彼の妹は一つの音程を長く歌いながら、それを少しづつずらしていくのが好きだった。例 えば、ドレミの レの音程を一分間二人で延ばして、一人がレから少しづつドの音程に向かって、4分の一音から半音、そして一音下に向かってスライドして行 くと、倍音がぶつかり合い、周りの空間で歌っていない音がわんわん響きだす。これは、ニューヨークでミニマル・ミュージックを始めたと自ら言っている作曲 家La Monte Youngがグループでやっている事でもあった。彼のグループ、Dream Syndicateでは二人の歌い手が倍音の響きを意識しながら歌い、さらにジョン・ケールがヴィオラで、、トニー・コンラッドがヴァイオリンで、持続音 とその周りの音程をずらしながら即興的に演奏をしていた。ヴァイオリンとヴィオラは、いっぺんに二つか三つの弦を弓で弾けるように、楽器が直されていた。 全ての音は、極端な大きな音で演奏されていた。こうした音の空間に包まれると、意識がトランス状態に入って行く。
Kevin Shieldsは、さらに、ギターのトレモロ・アームを使って、少しづつ音程をずらしながら弾く奏法を考えた。二人のギタリスト、Kevinと Bilindaがやっていると、倍音が空間に響きあう。曲によってはチューニングを変えてやっていた。My Bloody Valentine のcigarettes in my bedではギターの六弦が下から上まで、EEEEAe とチューニングされていた。Only Shallowという曲では、EBEF#Be。Moon Songでは(E)A#A#A#A#a#となっている。
ギターは19世紀では、一つのコード(EやDが多かった)に調弦してアイルランド民謡等を演奏する人が多くいた。今でも、その為の譜面が残っていたりす る。ブルースを演奏する20世紀初頭の黒人のギタリスト達は、普通の調弦よりもコードに調弦することが多かった。60年代では、ジョニ・ミッチェルが自ら 50個のチューニングを使っていると語っている。ジョニ・ミッチェルのチューニングはジャズ、ボサ・ノヴァや印象派の響きが押さえやくしている。しかし、 オープン・チューニングであるという事は、それ自体で普通の調弦のギターの響きよりも倍音が多くなり、独特な響きを作った。この響きで、ジャコ・パストー リアスやパット・メサニー等のジャズ・ミュージシャンと演奏していた。Kevin Shieldsの使い方は、さらにニューヨークの作曲家Glenn Branca やバンドのソニック・ユース の使い方にも影響を受けている。そして、弦を付け直さないと響かないチューニングを作り、それにトレモロ・アームを使い、いくつかのエフェクターを付け た。
My Bloody Valentine のサウンド・ミックスはKevin Shieldsがやっている事が多いが、これも独特の音がする。聞き手が一つの全体のエネルギーに包まれるようにミックスされている。ヴォーカルははっき りと聴こえて来ない。男が歌っているか、女が歌っているかも分からないようにしたい時がよくあったとKevin Shieldsは語っている。ミックスだけではなく、Kevinが高い声で女性のパートを歌い、Bilinda が低いパートを歌う。Bilinda の 低い声は独特だと思う。ジャケットもそのサウンドと同じように、光でぼやかしたものが多い。男女も一つなり、様々なエネルギーが一つになっていく。サウン ドは、こうした状態を最もよく表わしている。ライヴの時は、極端に大きな音で演奏しているらしい。Fuji Rockで来日した時は、音が他のバンドより もあまりにも大きく、演奏が始まると、お客さんは一歩下がってしまったという噂を聞いた。
最近のCD”mbv”にはさらにジョビンやジュアン・ジルベルトのコードの使い方のような影響が僕には聴こえてくる。
My Bloody Valentineの人気は、2000年代にアメリカの監督、ソフィア・コッポラが二つの映画で音楽やミックスをKevin Shieldsに頼んだ事から復活してきた。

最近のコメントには、Bilinda がいかに若く見えるかが多い。Bilinda は、今年52歳のイギリス人の女性で、3人の息子を育てていたはず だ。長男は、もうすぐ30才位のはず。しかし、人気が出た80年代後半と殆ど変わらなく見える。『いったいどうやっているのだ』と書いている人も多い。し かし、よくプロフィールを見ると彼女はフラメンコのダンス・インストラクターの資格を持っていて、跆拳道(韓国の空手に近いマーシャル・アーツ)のグリー ン・ベルトを持っている。昔のヒッピーやドラッグにおぼれてしまったミュージシャンは、年取るとかっこ悪くなった人が多いが、自分のケアをして来た人は違 う。生き方が反映している。今でもカッコイイ。

今日26日、My Bloody Valentine は来日していて、FUJI ROCK Festival で演奏するはずだ。しかし、僕は行けない。その代わりに、youtube で映像を見て、このような文書を書いてしまった。

これは前回のFUJI ROCK Festival でのライブの映像:

https://www.youtube.com/watch?v=3DEnwUAzPG4&list=PLpEBhmmrt1RX_4oU_dZ4vHMkv_0jpeZpQ

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