中世ヨーロッパのTroubadourの文学と中東の神秘思想

中世ヨーロッパのTroubadour、Minesinger、Trouvere、やMinstrelの吟遊詩人達の詩を皆さんは読んでいるでしょうか?あるいは、その延長線にあるイギリス民謡やアイルランド民謡等の詞をどれだけ見ているでしょうか?

中世ヨーロッパのTroubadour(吟遊詩人)は世界文学において最も重要な文化的な革命を始めた、と神話と文学の研究者ジョーゼフ・キャンベルは様々な本によく書いている。世界中の文学を見ても、中世ヨーロッパのTroubadourが表している世界観は、その延長線上に書かれているものではない限りなかった。日本文学に抜けているのも、このような表現だと僕は思う。日本の中世の文学や詩に一見近いような世界が見えても近寄ると全く別のものだと分かってしまう。
それでは、どうして中世ヨーロッパのTroubadourの文学は、それまでにない世界観を描くことが出来たのか?それは、勘違いから始まっていた。十字軍の中東の侵略以後に、スーフィー教(中東の神秘思想)の影響がヨーロッパの文学に浸透した。しかし、いつの時代でもそうであるように、別の文化のものが輸入され ると元の文化と別のものになってしまう。The Sufis(スーフィー達)という本で、Grand Sheikh Idries Shahは”the sufi stream was partially damned…Certain elements, necessary to the whole remained almost unknown.”(スーフィー達の語っていた意味が部分的に失われた。。全体に必要な、いくつかの要素はほとんど知られていなかった。)と書いている。中世ヨーロッパのTroubadour達には、中東や西アジアよりも個人主義(individualism)の伝統がすでに出来ていて、Loveという言葉にはキリスト教のLoveの意味が含まれていた。だから、当然にペルシャのスーフィー教の文学に別の読み方をした。しかし、これが文学に革命を起こした。Danteの『神曲』、Gottfried von Strassburgの『トリスタンとイゾルデ』、Wolfram von Eschebnbachの『Parzival』(パルシファル)にもその影響は強く出ている。そして、西ヨーロッパの民謡や民話にも、その伝統が強く出るようになった。
この最近、僕がレパートリーにして歌っているガーシュインやコール・ポーターの歌にもその伝統は詞に残っている。西洋の文学の伝統に深く入っている。しかし、それを日本語に翻訳するとどうしてもなっとくいかない。なぜだろう?それは、日本語の宮廷文学に、その伝統がないからだと思う。近いものにしか翻訳出来ず、それには”何かが違う”という印象がどうして残ってしまう。源氏物語にも、日本の中世文学にも江戸時代の近松にも一見、近そうなものは見えても実際は違っていた。
言葉の意味だけではなく、身体で、その文化的なバックグラウンドを感じないと、言葉は別の意味を持ってしまう。
ハワイのように、バイリンガルな文化を持つ事が出来れば、別の文化(ハワイの場合はフラの曲の背景にあるハワイ独特の文化と英語文化)を同時に理解する事が出来るだろう。日本で今それが、どのように出来るかは、中々見えづらい。
英語で禅仏教(Zen Buddhism)の本、俳句や日本文学の本を読んでいる人はどれだけ日本にいるだろうか?
大部分は美しく書かれている。
僕はこうした文学は最初英語で読んでいた。そうすると、アメリカの60年代で流行ったようなサイケデリックの響きがする。なぜかというと、ビートルズ、やウッドストック世代のヒッピー達がこうした本に影響を受けていたからだ。読み方は、伝統的な文学を日本で読むのと当然違っていた。Gary Snyderというビートニック世代のアメリカの詩人は、アメリカで英語で禅仏教の本を読んで日本に来た人のほとんどは日本に来てがっかりするとあるインタビューで語っていた。アメリカのある世代にとっては、禅のようなオリエントのものは”自由”を表していた。それはコンサーバティブなキリスト教の社会からの自由を表していた。しかし、日本にやってくると、想像していたヒッピーやビートニックの”自由”ではなく、別の様々な制限を経験してしまう。その時に”騙された”と感じてしまうのだ。

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