この哲学者スラヴォイ・ジジェクの映像を是非見て欲しい

この哲学者スラヴォイ・ジジェクの映像を是非見て欲しい。
 
この映像でスラヴォイ・ジジェクは、20世紀には”The People”, 『民衆』『人民』『大衆』という実際には存在しない架空の神話的な存在が大きく作られてしまった事に大きな問題があると語っている。この架空の『民衆』というものは個人の違いを全く無視して作り上げたものだ。まるで、フランケンシュタインの怪物のような作り物だ。全ての人が『民衆』の一員であるとすると、私のように17歳まで英語社会で育った人間はどこにも行く事が出来なくなる。一人一人の違いを認めない『民衆』を中心とした社会が作られ、そうした社会には部品のように入らないものは切り捨てられて行くだろう。
 
『20世紀の政治の見方や方法論は終わった。今はその間違いをしっかりと見つめて、考えていく時代だ。』これが元ユーゴの哲学者スラヴォイ・ジジェクや英国の哲学者ジョン・グレイが共通に多くの本やレクチャーで言っている事。この二人には、違っている意見も言っているが、僕にとっては、現代社会の分析においては共通に見える部分もあると思っている。20世紀の間違いをちゃんと認めないと21世紀の新しい世界には進めないだろう。
 
スラヴォイ・ジジェクは、資本主義国として今最も成功しているのは中国のため、アメリカや”西側”であった国の資本家もその真似をして社会主義化に向かっている危機について書いている。これは実際に起きている大きな危機だ。資本主義国の国では、そのままこれから社会主義化するとは言えないので、テロなどが起きるたびに、それから守るという口実で管理社会化が進んでいる。ニューヨークなどで来年から国内でもパスポートを持たないといけなくなる事や、日本のマイナンバーにしてもスターリン時代と似ている部分が感じる。今行っている事をナチス化と書く人がフェイスブックに多く見るが、実はナチス化ではなく、スターリン主義的な社会主義化になっているように僕には見える。よく言われている”1930年代のファシズムの再来”ではない。
 
スターリンはみんなの上に支配する怪物のような独裁者ではなかった、とスラヴォイ・ジジェクは語る。スターリンはむしろみんなのために働くセクレタリー(書記長)だった。スターリンもレーニンも人間が明るい未来に向かって行くためには、何万人の人を拷問して殺さないといけないと思っていた。これこそが歴史が望んでいる”民衆の戦い”であり、個人はそのために犠牲にならないといけないと考えていた。彼らは個人的に親しい人でも、民衆の為と考え、死刑にしていた。スターリンは特に好きな人だと、死刑にする前に最後のパーティーをその人のために企画して、一緒にお酒を飲んでから死刑にする事もあった。彼らは個人的な事ではない、みんなのためだ、と言えたのだ。個人主義、個人的な考え、個人の違いは認められない社会だった。
 
今、このような社会に知らずに向かっている事が恐ろしいように思える。また、今デモ等で語られている民主主義も実際には妄想を言っている人が多い気がしてしまう。私は有色人種の移民として、60年代のアメリカで育った。60年代にやっとマーチン・ルーサー・キングの黒人の解放運動が認められて、民主主義に向かうように見えた時代だった。これはアメリカの当時の経済状態とつながっていた。経済状況が良くなり、それまでの歴史にはなかったほど多くの人々が大学に行けるようになっていた。戦後から70年代後半まで、アメリカに経済ブームがあった。その中での民主主義化が可能だった。貧しい時代で現れるリーダーはむしろカリスマ的な存在になる人が多く、そうなってしまう人が一番危険である。
 
スラヴォイ・ジジェクはこの映像で語る、『独裁者を批判するのではなく、そうしたリーダーを正当化してしまう架空の”民衆”(The People”)という錯覚をまずしっかりと批判しないといけない。』
 
ジャーナリスト、イアン・ブルマによると、今の時代でレーニンの影響を受けて行動しているのがイスラムの過激派のテロリスト達である。
 
60年代や70年代の学生運動があった政治的な運動の意味は終わっている。
今の時代と一番大きく違うのは、どう見ても、今やアメリカは経済的に落ちて行っていることだ。しかし、中国やインドはアメリカと同じように権力を持てるようにもならないだろう。今までとは全く違う時代に突入している。ネットの怪しい情報ではなく、新しい哲学の本、現代科学の本、人類学の本、心理学の本などを研究して、新しい時代を見つめ直して欲しい。新しい時代には新しい知識人が必要である。20世紀でよく言われていた”民衆の時代”は終わった。しっかりと学問と知識を持った人間が時代をリードするべきである。
 
スラヴォイ・ジジェク, 英国の政治学者ジョン・グレイも二人共多くの若いミュージシャンにも影響を与えている。スラヴォイ・ジジェクの現代社会を分析するレクチャーはアメリカやヨーロッパでは席が売り切れになるほどの人気の哲学者になっている。スラヴォイ・ジジェクはラカン派精神分析学(フロイトの精神分析学を構造主義的に発展させたと言われている心理学者)の本を書く事から最初に話題になり、今では現代の世界政治から映画や文学などの文化の分析を面白く話したり書いたりする人気者で、まるでエンターテイナーにような評判も持っている。ジョン・グレイはフロイドを精神分析学者としてではなく、哲学者としての再発見について書いている。精神分析学からの影響は重要なポイントだと僕は思う。二人共にフロイド派だが、僕個人はこれにカール・ユングの本も今の時代を見るのに重要な役割を持っていると思っている。
 
他に近年の哲学、心理学、人類学で面白いのはイアン・ブルマ、ドリオン・セーガン、アルフォンソ・リンギス、そしてジャレッド・ダイアモンドの本だった。英国の政治学者ジョン・グレイは60年代ー70年代はアンチ・コミュニストだったが、彼は『グローバリズムという妄想』等のグローバル経済やネオコンを批判する本で知られている。19世紀のドイツの哲学者ショーペンハウアーについて書いた文書を僕は今の時代を生きるのに重要な内容が書かれていると思っている。
 
近年読んで、影響を受けた、過去から現在の哲学、心理学、人類学の本の作家達のリストを下記にコピーする。
Philosophy, Psychology, Science, Cultural Anthropology:
Carl Jung, Sigmund Freud, Joseph Campbell, Arthur Schopenhauer, Alphonso Lingis, Lynn Margulis, Dorian Sagan, Timothy Leary, P.D. Ouspensky, David Abram, Robert Anton Wilson, Edward T. Hall, Jared Diamond, Slavoj Zizek, John Gray, Matt Ridley, Marie-Louise Von Franz, Barbara Hannah, M. Esther Harding, Moshe Feldenkrais, Eric Franklin, Susan Rowland, Ian Buruma, Bruno Bettelheim, Robert Graves, Novalis, Hiroko Yoshino (吉野 裕子), Antonin Artaud, Donald Richie, Colin Wilson, Julian Jaynes. Oliver Sachs, Francisco J Varela, Tyler Volk. George Carlin
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