Ophelia by Ayuo

このリンク先の『オフィーリア』という曲はAyuoのCD『絵の中の姿』に収録されている。ヤドランカとAyuoによって歌われている。カート・ヴォネガットの小説「ジェイルバード」のある場面にインスパイヤーされて書いた曲。
カート・ヴォネガットの小節は最初、僕が12歳の頃に継母のカレンに読むように言われた。14歳から15歳の頃、それまで出ていたほとんどの小説を読んだ。カート・ヴォネガットの描くテーマは一生自分の作品に残っている。ところで、彼の有名な小説の映画版『スローターハウス5』ではグレン・グールドのピアノ演奏が映画音楽に使われている。『マザー・ナイト』では作曲家、アルヴォ・ペルトの音楽が使われている。
カート・ヴォネガットはドイツ系アメリカ人で、第二次大戦争の時期をアメリカ兵として、ドイツで戦い、捕まり、捕虜になった。彼の小説に、この戦争体験が重要なテーマとして出てくるが、彼の書き方はとてもユーモラスで笑い出せる場面も多くある。
この場面では、主人公のアメリカ兵が1945年の夏に戦争が終わった事に大きな喜びを感じて、ある女性に語りかける『これからの新しい時代を見てごらんよ、世界はやっと今までの間違いに気付いたんだよ。一万年の狂気と欲望の時代がこの戦争裁判と共に終わるんだよ。本も書かれるだろうし、映画も作られる。これこそが歴史の中で最も重要な曲がり角かもしれない。』しかし、その女性はまるでオフィーリアのようなキャラクターだった。彼女は戦争での人間の行動を見てから、人間が良いものだと信じなくなった人だった。第二次大戦後には何万人もこうした女性が戦争の跡地を放浪していた。オフィーリアは次のように歌っている:
私をさわらない
私も誰もさわらない
飛んでいる鳥のように
とても美しい
神と私だけで
愛の言葉を語ったアメリカ兵に次のように答える:『私たちは宇宙の片隅にできた病気のようなもの。人間が子供を作り続けていくこと自体が間違っていると思っている私に、よく愛なんか語れるわね。まるで8歳の男の子みたいね。』
彼は答える:『時代の夜明けにぴったりの年齢さ。』
2000年代にイラクに戦いに行ったアメリカ兵も、このようにアメリカのデモクラシーを世界に広めないといけないという信念で行ったものが多かった。
この小説が書かれた70年代にも、20世紀最後の左翼的な政治思想が生まれていた。でも人間は変わらなかった。第二次大戦を体験したヨーロッパの女性オフェーリアの考えは、社会思想や人間の新しい未来をだれかが語る時、僕がいつも思うことと重なっていた。この曲はそれを表現している。
この小節「ジェイルバード」の最後には、第二次大戦争でアメリカ兵だった主人公がニューヨークを歩いていると、町中のお店、新聞やテレビなどメディア、エンターテインメントが同じ会社のものになっている時代になったと気づく。今でいえば、セヴン・イレブン、ガスト、マック、などのチェーン店にあふれている町になり、個人営業は難しい時代になっている。1970年代から見ると、まさに今の時代だ。そこで、彼は戦前に一緒に社会運動をやっていた元彼女が全てのオウナーだと分かってしまう。戦前にはスターリン風の社会主義をアメリカに広めようと一緒に運動をやっていた。実際のスターリンのソ連では多くの人々が収容場で殺されたとも気づいていなかった。彼女は久しぶりに会う元彼氏に語る『私はやったのよ! アメリカを社会主義にしたの。あなたと別れた後にお金持ちと結婚して、次々と買収した。誰かが全てを買わないと資本主義は終わらないと私は考えたの。』
2010年にニューヨークに「ウォール街を占拠せよ」というプロテストの運動が会った時に、スロヴェニアの哲学者スラヴォイ・シジェックがみんなにある言葉を唱えさせた:
『私達は社会主義者ではない。ウォール街のお前たちが社会主義者だ。』たしかに、近年、ビル・ゲイツやアメリカの多くの億万長者達は自分達は社会主義者だと言っている。そして、社会主義者だといっている数人が全てオウナーに成り出している。中には自分たちはリベラル・コミュニストだと言っている人たちもいる。多くは1968年の学生運動を通って来た人たちだ。しかし、今の世の中を見て、はたして社会は良くなったであろうか?
1970年代に未来が、このようになっていくと考えられた人は少なかったかもしれない。哲学者のスラヴォイ・シジェックは言う『多くの西欧諸国の人々は社会主義になって来ているのを気づいていない。中国、ロシアや私達、東ヨーロッパの人達は長年社会主義の国で住んでいたから、それは敏感に感じる。そして、その危険性も、自由が失って行く事も感じられる。』
この本や他のカート・ヴォネガットの本を推薦したい。
この曲は組曲の2曲目だった。1曲目は上野洋子さんとイギリス人のプロデューサー、デヴィッド・ロードと一緒に自費でレコーディングしたが、まだ発売されていない。『絵の中の姿』は現音舎 のレーベル、ジパング・プロダクツより発売されている。アマゾンでも売られている。

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