この一週間位、New Order の新譜と2000年以後のNew OrderのCDをよく聴いています。1980年代にNew Orderのレコーディングに遊びに行く機会が僕にあった。State of the Nationという曲を録音している最中だった。長時間ドラマーとリズム・プログラマーのStephen Morrisと話す事が出来た。彼は自分のリズム・パートの録音が終わっていて、奥さんのキーボード奏者のGillian Gilbertはもう帰っていて、Bernard SumnerとPeter Hook がダビングをしていた。Bernardは真剣な顔で同じパートの直しを何度もしていたので、Stephen Morrisは話しが出来る時間があった。三島由紀夫などについても話していた。
1980年代当時、New Order のやっている事は、僕にとって新しいサウンドだった。コンピューターの打ち込みやサンプリングのテクノロジーも含めながら、本物のバンド・サウンドとしてまとまっている良さがあった。このようなバンドはまだあまりなかった。自分が当時未来に目指したかったサウンドだった。Stephen Morrisは元々かなり良いドラマーだ。シンプルに聴こえるかもしれないが、独特のビートの感覚を持っている。彼の奥さんであり、キーボード奏者のGillian Gilbertと共にプログラミングを独自に勉強し、ライブではドラムを叩く以外に、Emulatorという当時出たばかりのサンプラーをドラムや生のパーカッションを叩く同じ勢いで叩いていた。そして、今の新しいCDや昔の彼らの曲の最近のライブ・ヴァージョンを聴くと、打ち込みやアレンジがさらに進化して、どんどん良くなっている。New Order の曲は、みんながバンドとして書いている曲が多い。Stephen Morrisと奥さんのGillian が打ち込みで作った曲にシンガー・作詞家・ギタリストのBernardが詞を書いて、ヒットした曲もいくつもある。
Stephen Morris はとても話しやすい人だった。仕事も一緒にしやすい人だと思った。彼に僕の『水色の鏡』のバンド・ヴァージョンの”River of Light” のが収録されているアルバムを最後に渡したのが覚えている。
彼らのヴィデオは他のバンドのヴィデオと違う。プロモーション・ヴィデオというよりは映画監督に曲にインスパイヤーされた5分間のショート・フィルムを委嘱している。中には、『羊たちの沈黙』等の知られている映画を監督するようになった人もいる。
これはスウェーデンの監督、ヨハン・レンクが作ったNew Order の2005年の『Krafty』。シンガーのBernardはこれが入っているアルバムのタイトル曲『Waiting for the Sirens’ Call』がNew Orderでのfavoriteな曲(最も好きな曲)だと言ったことがあった。
ところで、ドラマーのStephen Morrisと奥さんのGillian Gilbertは1978年に前身のバンド、ジョイ・ディヴィジョンのライブで20歳の時に出会ってから、今でも夫婦でありながら、一緒に曲を作り、ツアーを続けている。その間に、子供を二人育てて、奥さんの乳がんを乗り越えている。今、もうすぐ60歳だ。これは今の時代ではめずらしいことだ。