
立岩潤三: ドラム・パーカッション
瀬尾真喜子:ピアノ、キーボード
守屋拓之: ベース
Nashaal: ダンス
『パープル・レイン』を録音した1983年のライブでプリンスが歌ったジョニ・ミッチェルの『A Case Of You』がこの映像で聴ける。『パープル・レイン』の『Computer Blue』とメドレーになっている。『A Case Of You』を聴くと、プリンスが影響を受けた言葉と音楽の一つの使い方が聴こえて来るように感じる。ギター・プレイヤーというアメリカの雑誌では、ジェームス・ブラウンのファンク・ギターにジョニ・ミッチェルのコード進行の使い方をギターで覚えると、プリンスのスタイルに近づけると書いてあった。しかし、プリンスがジョニ・ミッチェルから影響を受けたものは音楽だけではなかった。ジョニ・ミッチェル本人のインタビューで、ジョニ・ミッチェルの1975年から作ったアルバム『The Hissing of Summer Lawns』や『Hejira』での歌詞に強く反応して、それを最初にうまく取り入れたのはプリンスだったと語っている。ジョニ・ミッチェルのこの1975年以後の歌詞は、『私は。。と思う』という表現よりも、第三者として客観的に書いている表現のスタイルが多かった。プリンスの最初のアルバム『For You』の曲『So Blue』はジョニ・ミッチェルがジャコ・パストリアスと始めた1970年代のサウンドに対するオマージュだった。この曲『A Case of You』は、まだそのスタイルで書かれている歌詞の曲ではないが、プリンスが影響を受けた言葉と音楽の一つのルーツが聴こえて来る。この曲はジョニ・ミッチェルの『Blue』(1971)というアルバムに入っていた曲だ。
あるインタビューで、プリンスは、最近の音楽シーンの暴力には嫌気がすると語っていた。インタビューをしている人が、『あなたの作品はセクシュアルな内容が多いじゃないか』プリンスは『セクシュアリテはスピリチュアルなものとして表現している』と語っている。暴力とは、世の中に破壊力以外に、何も与えないものについて言っている。芸術作品はconstructive(建設的)であって欲しい。この曲の官能的な表現の仕方は見事である。めったに、このレベルで歌詞とメロディーを表現出来る人がいない。また、この歌のプリンスの歌い方は本当に感動的である。そして、プリンスの他の曲でのジョニ・ミッチェルからの影響も伝わってくる。
今度の6月30日のシアター・ロック・グループ『ジェノーム』のライヴでは『Let’s Go Crazy』『1999』(Prince)なども演奏します。
https://www.facebook.com/events/190532167998700/
下期に翻訳した歌詞と原文を載せます。
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A Case of You by Joni Mitchell 翻訳:Ayuo
私は孤独な絵描き
絵具の世界で生きている
悪魔に怯えている私は
悪魔に恐れを感じない人にひかれてしまう。
君は私にこう語った
愛は魂のふれあい
そう、私達はふれあったにちがいない
あなたの一部は、私の語るちょっとした一言から
流れ出ている時に、そう感じられる
あなたは神聖なワインのように私の血液で流れている
とても苦くて甘い
一つのケース分、君を飲んでしまったとしても
私はしっかりとしていられる。
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I am a lonely painter
I live in a box of paints
I’m frightened by the devil
And I’m drawn to those ones that ain’t afraid
I remember that time you told me you said
“Love is touching souls”
Surely you touched mine
‘Cause part of you pours out of me
In these lines from time to time
You’re in my blood like holy wine
You taste so bitter and so sweet
I could drink a case of you darling
And I would still be on my feet
“We live in a place that now feels like a plantation.
We are all indentured servants.” – Prince
7:14 on the youtube interview
私たちはみんなプランテーションの奴隷として生きている。
私たちはみんな契約に結ばられている家来だ。 ー Prince
Prince は80年代の『Purple Rain』で世界的に知られるようになった。彼は長年、自分の音楽の権利を守る為に戦い続けていた。Youtubeが始まった時も、彼の音楽作品は消去し 続けていた。音楽をネットで無料でシェアするという事は、その制作費に必要なお金を集める事が難しくなるという事だ。レストランやカフェに入った人が、食 べ物はみんなで分かち合うべきだという説教をして、何も払わないで帰る事はしない。そういう事をしたら捕まってしまう。しかし、人が何時間をかけて作った 作品はみんなで分かち合うべきだと言ってしまった瞬間、その作品の価値を低く見ている。その作品が自分にとって価値がなければ買わなければ良いが、何かの 価値を感じるのであれば、お金を出して、それを示すのが当然の行動だろう。お金はエネルギーを示している。ネットでのファイル・シェアリングは情報交換に 役に立つかもしれないが、クリアイティブな創作に使う時間とお金をうばってしまっている。泥棒行為と同じだと思う。『ロックはインターネットによって殺さ れた』とステーヴィー・ニックスというシンガーは言った事があった。
最近の社会状況は十代の時に読んだアメリカの作家カート・ヴォネガットの小説『ジェイルバード』の未来社会を思い出してしまう。様々な企業のマージャーの 結果、0.01%が99.9%を支配する社会主義の世界になってしまう。社会主義のルーツは19世紀初頭の中流階級の革命の時に、貴族や地主と彼らを囲む インテリが考えた社会だった。個人営業が資本主義と共に広まった時に、”新しい社会を作れる”とインテリを騙して、もう一度土地に縛られた農奴や奴隷がい る社会に戻せるプランが社会主義であった。そのように見えないのはみんながサービス業をやらなければいけない社会になっているからだ。最近マック等を見る と19世紀初頭の社会主義者が描いた働く者の為の食堂の図面を思い出してしまう。
Prince came to be known worldwide in the 1980s for his album “Purple Rain”. For many years, he continued to fight in order to protect the copyrights to his music. Even when Youtube had started, he had his music erased. When no one pays money for music, it becomes difficult to pay for the necessary costs to record and produce new music. No one who enters a restaurant or a cafe would walk out without paying anything, and preach about sharing. Those who do so would be caught for stealing. But in music, many people would simply download or share music. Music is expected to be virtually free. No wonder there is so much less energy in a lot of the music produced now. Money represents energy. If the music that you hear means something to you, you should try to pay something for it. If you don’t, you help lower its value, and make it impossible for the musicians to continue to live or create any works. If you don’t like it, there is no need to buy it. But if you do like it, people should have ways of showing their appreciation.
File sharing on the net might be useful to exchange information, but it is robbing time and money that could have been used in creative work. That is the same as robbery. The singer Stevie Nicks once said “The internet has killed rock music”.
Today’s society reminds me of a future society that I once read in Kurt Vonnegut’s novel, “Jailbird”. After a multitude of big company mergers, 99% of the population becomes ruled by a small 0.01% minority that no one sees. It becomes a socialist world ruled by Socialism itself was originally created by the aristocrats,landowners and their intellectual servants. It was a way to reverse the tide of the capitalist revolution of the newly powerful middle class. By deceiving the intellectuals, society was reversed to days of serfs and slaves. Only it doesn’t seem that way on the surface because today most people work in service jobs. When I walk into McDonald’s, it always reminds me of the worker’s eating place in the drawing plans of the early 19th century utopian socialist societies.